霖雨の森にて、

独り言を、

嫌いだった赤

今週のお題「赤いもの」

 

私は母親が子供のときから好きだった。

子供の時はそれが特に顕著で、母親が好きだと言ったものはなんでも好きだった。

食べ物だったり、音楽だったり、タバコの種類だったり。

その中の一つに、「色」もあった。

 

母親は昔から好きな色を聞かれると、赤と答えていた。

だから子供の頃の私は赤が好きだった。

ランドセルも真っ先に赤いものを選んだ。

 

だがそんな話はあとから聞いた話だった。

私はそんなこともすっかり忘れ、いつの間にか好きな色は青、黒、緑へと赤とは無縁の色に変わっていった。

 

子供だったから、好きな色が変わった理由なんて多分大きな理由ではない。

青とか黒のがかっこいいとか、私は昔から空が好きだから空の色だからとかそんな単純な理由だ。

 

大きくになるにつれて、好きだった赤色は、趣味に合わない避ける色に変わっていってしまった。

母親が赤い靴を買ってくれば好きな色ではないと突っぱね、赤い服を買ってくれば趣味じゃないと嫌がった。

思春期によくある反抗だが、そうして私の身の回りには赤いものはなくなった。

 

きっと潜在的に赤は可愛い色で、もっとかっこいい色が自分のイメージに合うと勝手に考えていた。

だから、赤をすきになるのはとても簡単だった。

 

赤はとても鮮やかで目を引く、よく目立つしそれなのに可憐だ。

目立つ色は差し色にするのにとても適している。

黒と白の服に赤い小物を添えただけで一気にかっこよくなるのだ。

それを知ってしまった。

赤いメッシュの髪はとてもかっこいいし目立つ。

赤のかっこよさを見つけてしまった。

青でも黒でも緑でも出せないかっこよさが赤にはあることを気づいてしまった。

 

今では赤いものも好きだ。

成人式の着物は赤くてかっこいいものを選んだほどだ。